落ちこぼれ高校生軍団の話

お題「最近涙したこと」

 

最近涙したのは、金城一紀さんの著書「レヴォリューションNO3」を読んだ時。
あらすじでは、落ちこぼれの男子高校生軍団が、あこがれのお嬢様学校の学園祭に侵入するため、あれこれ画策するという話だったので、ギャグテイストの強いコミカルな作品だと思っていた。
実際、コミカルな要素もあるにはあるのだけど、思った以上に重い話が多くて・・・。
でもそれはいい意味での裏切りで、読んだ後はしばらく余韻に浸った。
感銘を受けた箇所はいろいろあるんだけど、一番ぐっときたのは、病に冒された友人と、それを見舞いにきた主人公の屋上でのワンシーン。
「死にたくない」という友人に、「おまえが死ぬもんか」と言いつつ、雨の中、友人の肩を抱く。
その心の中で、主人公は神様に願う。どうかこいつを治してくれ。それができないならせめてこの雨を止ませてくれ。自分の体は小さくて、こいつの体を守ることが出来ないから、と。
文字だけにするとそのへんにある安っぽい青春小説みたいになっちゃうんだけど、この主人公、普段は飄々としているというか、タフなんだけど変な暑苦しさがないというキャラなんだよね。
その彼が友人の肩を抱き、普段は信じていなさそうな神様に祈る。そのシーンがじんと来る。
やることは大人から見るとバカっぽいし、荒唐無稽なんだけど、こんな友達がいたら一生の宝物だなと思う。
暑苦しい青春小説ってどうも苦手なんだけど、これは適度な温度で、でも心に来る物があって、久々に泣いた。